先に結論から言うと、最近のAIは「どれが一番すごいか」を決めるより、「何をやらせるか」で選ぶ方が圧倒的に重要になってきました。
ChatGPT、Gemini、Claude。画像ならPhotoshop、Midjourney。動画ならVeo、Seedance。コーディングならClaude CodeやCursor。
気づけばAI、多すぎませんか?
ちょっと前まで「ChatGPTってすごいね」と言っていたはずなのに、今ではAIの名前だけで会社の組織図が作れそうな勢いです。
しかも厄介なのが、それぞれ普通に優秀。
「じゃあ結局どれを使えばいいの?」となるわけですが、GROUNDで実際にいろいろ使ってきた感じでは、答えはかなりシンプルでした。
一番強いAIを探すより、それぞれ得意な仕事を任せる。
今回は、制作会社の現場でAIをどう使い分けているのか。それぞれを勝手に「社内スタッフ化」しながら整理してみます。
AI選びは「最強決定戦」から「人員配置」へ
少し前までAIの話になると、「ChatGPTとGeminiならどっち?」「ClaudeってChatGPTより賢いの?」みたいな比較がよくありました。
もちろん今でもモデルごとの性能差はあります。ただ、実際の仕事で使っていると、単純に順位をつけてもあまり意味がありません。
文章を書くのが得意なAI。長い資料を整理するのが得意なAI。コードを書くのが得意なAI。画像生成が得意なAI。動画を作るのが得意なAI。
できることが細分化されすぎて、もう「AI」という一括りで比べるのが無理になってきました。
会社で考えれば分かりやすいです。
デザイナーに経理をやらせないし、経理担当に動画編集をお願いすることも普通はありません。
AIも同じで、専門分野は専門AIに任せた方が早い。
ハンマーがどれだけ高性能でも、ネジはドライバーで締めた方がいい。
たぶんそんな感じです。
ChatGPT君は「とりあえず聞ける」万能スタッフ
そんな中、GROUNDでなんだかんだ一番呼ばれてきたのはChatGPT君です。
企画を考える。文章を書く。リサーチする。キャッチコピーを出す。コードを相談する。翻訳する。画像を作る。資料を整理する。
一つの専門分野だけを見ると、もっと尖ったAIはあります。
でもChatGPTの強みは、仕事をまたいでそのまま相談できること。
たとえば、
- 「この企画どう思う?」
- 「じゃあタイトル10個出して」
- 「その中の3番で本文書いて」
- 「WordPress用のHTMLにして」
- 「アイキャッチも考えて」
と、一つの仕事をそのまま横断できます。
社内スタッフに例えるなら、専門職というより、
「それ、俺やっときますよ!」
と毎回どこからともなく出てくる万能スタッフ。
Web制作の相談をしていたはずなのに、気づけば文章を書いて、翻訳して、画像のアイデアまで出している。
しかも特定のアプリを立ち上げるほどでもない「ちょっとこれ考えて」が投げやすい。
この気軽さは、日常業務ではかなり大きいです。
ただし最近、Claude君がかなり強い
そんな万能スタッフChatGPT君ですが、最近ちょっと社内で立場が危うくなっています。
Claude君です。
特に、長い文章、大量の資料整理、仕様書を読みながらまとめる作業、コーディング。この辺になると、
「これClaude君にも聞いてみる?」
という一言が普通に出るようになりました。
ChatGPT君の隣に、Claude君が少しずつ机を置き始めています。
長い情報を渡して「全体を理解したうえで整理して」という仕事では、Claudeを使いたくなる場面があります。
企画書、仕様書、議事録、長文の記事、複数ファイルにまたがるコードなど、情報量が増えるほど頼りたくなる感じです。
そしてコーディングになると、さらに存在感が増します。
Claude Codeは「コードを答えるAI」から一歩進んでいる
以前のAIコーディングといえば、エラーコードをコピーしてChatGPTに貼り、
「これ何が悪い?」
と聞く使い方が中心でした。
これはこれでめちゃくちゃ便利です。
ただ、Claude Codeのようなコーディング向けツールは、その先に進んでいます。
プロジェクト内のコードを読み、複数のファイルを確認し、必要な場所を探しながら修正していく。
つまり、
「このコード直して」
から、
「このプロジェクト直して」
に近づいてきた。
人間側が「このファイルの43行目を変えて」と全部指示しなくても、AI側が「たぶんここですね」と探しにいく。
コーディングに詳しくない人からすると違いが分かりにくいかもしれませんが、実際の開発ではかなり大きな差です。
コードを書く時間より、
「どこ直すんだっけ?」
と探している時間の方が長かったりしますからね。
Cursorも「AIに聞く」より「AIと作る」に近い
Cursorも同じく、コーディング現場では存在感があります。
エディターの中でAIを使いながら、コードを読ませたり、複数ファイルを修正したり、エラーの原因を探したりできる。
この辺のツールを使っていると、AIの立ち位置が変わってきたのを感じます。
以前は、
人間が作業する → 分からないところをAIに質問する
だったのが、今は、
人間とAIが同じプロジェクトを見ながら作業する
に近づいています。
もちろん何でも任せて放置、はまだ怖いです。
「直りました!」と言われて確認したら別の場所が壊れていた、なんてこともAIでは普通にあります。
新人スタッフと同じですね。
優秀だけど、確認は必要。
画像制作は「Photoshopを使う」だけではなくなった
画像制作もここ数年でかなり変わりました。
GROUNDでは普段のデザイン制作でPhotoshopを使うことが多いですが、最近は単に「Photoshopで作る」と言うだけでは説明が足りません。
Photoshopの中でも生成AIを使い分けるようになってきたからです。
Adobe自身のAIモデルを使う場合もあれば、目的によってパートナーモデルを使う場合もあります。
つまり今は、
「どのソフトを使う?」
だけではなく、
「その中で、どのAIモデルを使う?」
まで選ぶようになってきました。
人物が得意。背景が得意。リアル系が得意。イラストが得意。元画像を維持しながら修正するのが得意。
モデルごとに癖があるので、制作物によって変えます。
AIも人間と同じで、万能そうに見えて意外と得意不得意があります。
Midjourneyは「完成品」だけでなく発想出しにも強い
画像AIでよく使われるMidjourneyも、Photoshopとは少し役割が違います。
もちろん完成ビジュアルを作ることもできますが、制作の初期段階で世界観や方向性を探るのにも便利です。
たとえばバナーやキービジュアルを作る前に、
- もっと映画っぽくしたらどうなるか
- 高級感を強くしたらどうなるか
- ポップに振ったらどうなるか
- 人物を使わず世界観だけで見せたらどうなるか
といった案を短時間で大量に出せます。
昔なら参考画像を探して、Pinterestを見て、Google画像検索して、そこからムードボードを作って……。
今はその途中にAIが入ります。
デザイン作業そのものより、「方向性を探す時間」がかなり短くなったのは大きいです。
動画生成AIはさらに「適材適所」が激しい
そして最近、一番追いかけるのが大変なのが動画生成AI。
Veo、Seedanceなどをはじめ、動画系は新しいモデルが出るたびに「また増えたの?」となります。
しかも動画の場合、画像以上に得意不得意が分かりやすい。
人物の自然な動きが得意なモデル。カメラワークが得意なモデル。元画像を崩さず動かすのが得意なモデル。派手な映像表現が得意なモデル。
「動画生成AIなら何でも一緒」ではありません。
実際の制作では、
- 人物中心なのか
- 商品中心なのか
- 実写っぽくしたいのか
- 映画っぽい演出が欲しいのか
- 元画像の顔をどこまで維持したいのか
などを見て選びます。
なので動画AIも、結局は「最強モデル」を一つ決めるより、案件ごとに選ぶ方が自然です。
Geminiも含め「万能型AI」は何本かあると便利
ここまで専門AIの話をしてきましたが、だからといって万能型AIがいらないわけではありません。
むしろ逆です。
ChatGPT、Claude、Geminiのように、企画、文章、調査、コードなど複数の仕事をまたげるAIは、日常業務ではかなり使いやすい。
専門AIは確かに強い。
でも毎回、
「これは文章だからこのAI」
「これは検索だからこのAI」
「これはコードだからこのAI」
と切り替えていたら、それはそれで面倒です。
なので今のGROUNDでは、感覚としては
普段使いできる万能AIを何本か持っておき、必要なときだけ専門AIを呼ぶ。
この形が一番しっくりきています。
でもAIを全部契約すればいい、ではない
ここで現実的な問題。
サブスク代です。
ChatGPT、Claude、Gemini、Midjourney、コーディングAI、動画生成AI、その他いろいろ。
「便利そうだから」と全部契約していくと、普通にいい金額になります。
そして最近は、サービス同士の機能もかなり重なっています。
文章だけだったAIが画像を作る。画像ソフトの中で複数AIモデルが使える。コーディングツールから複数モデルを呼べる。
つまり、契約数を増やせば増やすほど仕事が速くなるわけではありません。
むしろ、
「あれ?このAI何のために契約したんだっけ?」
となる可能性があります。
サブスク一覧を開いて反省するやつです。
大事なのはAIを増やすことより「役割」を決めること
AIを導入するときに大事なのは、ツールの数ではなく役割を決めることだと思います。
たとえば、
- 企画・文章・日常相談 → 万能型AI
- 大量資料の整理 → 長文処理が得意なAI
- コーディング → Claude CodeやCursorなど開発向けAI
- 画像の仕上げ → Photoshop
- ビジュアル案出し → Midjourneyなど
- 動画 → 案件に合わせて動画生成AIを選ぶ
といった感じで、「この仕事ならまずこれ」を決めておく。
これだけでもかなり迷わなくなります。
会社でも、誰に頼むか毎回30分悩んでいたら仕事になりません。
AIも同じです。
AIが増えたことで、人間の仕事も少し変わった
そしてもう一つ感じるのが、AIを使う側の仕事も変わってきたということ。
以前は「自分で作れるか」が重要でした。
今はそれに加えて、
「どのAIに、何を、どう任せるか」
という判断が必要になっています。
画像を作る技術だけではなく、どのモデルを使うか。
コードを書く技術だけではなく、どこまでAIに触らせるか。
文章を書く技術だけではなく、AIが出した文章のどこを直すべきか。
つまり人間側は、少しずつ作業者からディレクター寄りになっている気がします。
AIに仕事を振り、上がってきたものをチェックし、必要ならやり直させる。
完全に上司です。
AI部下、多すぎ問題。
結論:AI界も会社とだいたい一緒
いろいろなAIを実際に使ってきて思うのは、AIの世界も会社のチーム編成とかなり似ているということです。
専門職は、その分野ではやっぱり強い。
コーディングならコーディング向けAI。画像なら画像向けAI。動画なら動画向けAI。
一方で、企画、文章、相談、調査まで何でも投げられる万能スタッフも非常に便利です。
ということで本日の結論。
AI界も会社と一緒。
専門職は強い。
万能スタッフは便利。
そして油断していると、新人に席を取られる。
最近ちょっとClaude君に押され気味のChatGPT君。
頑張ってください。
……ちなみに、このブログを膨らませているのもChatGPT君です。
ちゃんと仕事はしています。
まだ席はあります。
たぶん。
