今回は、色の選択がなぜ売上に関係するのかを探求します。
配色・カラーパターンの選択が、私たちの感情や印象にどのような影響を与えるのでしょうか?
色の力とその影響
色は単なる視覚的要素以上のものであり、消費者の購買意欲や行動に大きな影響を与えることができます。
特定の色は、心理学的に特定の感情や行動を引き起こすことが示されています。
この知識を活用することで、デザイナーはサイトや商品の売上を大幅に向上させることができます。
何色を使えば売上が上がる?
この色を使えば売上が上がる…と単純には言いきれません。
それなら、全ての商品やブランド、お店もサイトも同じ色だらけになっているはずですよね。
商品やサービスによって、売上を向上させるために使うべき色は異なります。
次の項目ではそれぞれの色が与える心理的影響とその活用例、またそれを活用している企業・ブランドをご紹介します。
12色の心理的影響、使用企業、活用例一覧
【赤 red】
心理的な影響:
時間経過をはやく感じさせる、回転率を上げる、注意を引く、食欲・購買意欲を増進させる、体感温度を上げる
企業・ブランド例:
マクドナルド、ユニクロ、NISSINなど
活用例:
安売りセールのポップ、食品のパッケージ、秋冬の服飾・雑貨、回転率を上げたいショップの内装など
【青 blue】
心理的な影響:
信頼性を高める、体感温度を下げる、冷静さを促す、食欲を減退させる、リラックスさせる、体感時間を遅く感じさせる、集中力を高める
企業・ブランド例:
Facebook、KDDI、かんぽ生命など
活用例:
銀行や保険会社など信頼が重要な企業のロゴ、夏のクーリング商品、プロフェッショナルなビジネスサイトのデザインなど
【黄色 yellow】
心理的な影響:
明るさと楽しさを提供する、注意を引く、エネルギッシュな雰囲気を作り出す
企業・ブランド例:
LOFT、CAPCOM、ココスなど
活用例:
夏向けのプロモーション、キッズ向け商品のパッケージ、明るいイベントのポスターなど
【緑 green】
心理的な影響:
自然と健康を連想させる、リラックス感を提供する、安全感を与える
企業・ブランド例:
スターバックス、ゆうちょ銀行、モスバーガーなど
活用例:
オーガニック製品のラベル、スパやリゾートのブランディング、健康食品のパッケージなど
【紫 purple】
心理的な影響:
豪華さとクリエイティビティを感じさせる、神秘的な雰囲気を作り出す
企業・ブランド例:
ガンホー、YAMAHA、アナスイなど
活用例:
高級ブランドのパッケージ、アートや音楽関連のイベント、美容製品の広告など
【黒 black】
心理的な影響:
高級感とエレガンスを与える、フォーマルさを強調する、権威を感じさせる
企業・ブランド例:
ヨウジヤマモト、シャネル、メルセデスベンツなど
活用例:
高級車やファッションブランドの広告、フォーマルなイベントの招待状、プレミアムサービスのロゴなど
【白 white】
心理的な影響:
純粋さとシンプルさを感じさせる、清潔感を強調する、広々とした雰囲気を作り出す
企業・ブランド例:
Apple、ちふれ、ソフトバンクなど
活用例:
ミニマリストなデザイン、医療やヘルスケア製品のパッケージ、モダンな家具や家電製品など
【ピンク pink】
心理的な影響:
女性らしさと優しさを感じさせる、ロマンチックな雰囲気を作り出す
企業・ブランド例:
サンリオ、ゼクシィ、ダイソーなど
活用例:
女性向け製品のパッケージ、バレンタインやホワイトデーの広告、美容・コスメ関連のブランドなど
【オレンジ orange】
心理的な影響:
活力と楽しさを感じさせる、エネルギッシュな雰囲気を作り出す
企業・ブランド例:
吉野家、au、Amazonなど
活用例:
夏のプロモーションやイベント、スポーツ関連の商品やサービス、エンターテインメント関連の広告など
【水色 light blue】
心理的な影響:
穏やかさと爽やかさを感じさせる、リラックスした雰囲気を作り出す
企業・ブランド例:
旧Twitter、ローソン、シーブリーズなど
活用例:
リゾートやスパのブランディング、夏の服飾・雑貨、水関連の製品やサービスなど
【グレー gray】
心理的な影響:
中立的でバランスが取れていると感じさせる、プロフェッショナルな雰囲気を作り出す
企業・ブランド例:
RMK、ニューバランス、コクヨなど
活用例:
ビジネス関連のウェブサイトやアプリ、事務所や会議室の内装、モダンなデザインの家具や家電製品など
【茶色 brown】
心理的な影響:
安定感と自然さを感じさせる、暖かみのある雰囲気を作り出す
企業・ブランド例:
セリア、上島珈琲店、ネスレなど
活用例:
カフェやレストランの内装、自然製品のパッケージ、伝統的な商品やサービスの広告など
売り上げにつながる色の使い方とは
各色、消費者に対してそれぞれ異なる印象を与えることができるのがわかりました。
企業例を見てみると、色が与える影響を把握した上でコーポレートカラーを決定していることがわかりますね。
例えば、マクドナルドの赤と黄色。
2色とも注意を引く色です。
マクドナルドの看板は遠くからでもよく目につきますよね。
さらに、暖色は食欲を増進させ、時間経過をはやく感じさせる効果があります。
お客様が短い時間で満足してくれるので回転率を上げることができるのです。
では、飲食店なら赤と黄色を用いれば売上が上がるのか?
そうとも言い切れません。
スターバックスはよく混んでいますが、緑・茶色・グレーなどをロゴや店内の装飾に使用していますね。
リラックス、安定感を感じさせる効果のある配色で、店内では居心地の良さを感じることができます。
スターバックスでは自宅でも職場でもない、第3のリラックスできる場所「サードプレイス」という概念を提唱しているそうです。
回転率よりも居心地の良さを提供することを重視した。
このように他企業との差別化によって売上が向上した例もあります。
企業・ブランドの戦略に適した配色を用いることが、売上の向上につながるのでしょう。
国・文化や背景の考慮
色の心理的な影響は国や文化、背景によって異なる場合があるため、ターゲット市場やオーディエンスの背景を考慮して色を選択することが重要です。
例えば、アジア市場での赤は繁栄や幸運を意味する一方、西洋文化では注意や危険を示唆する場合があります。
まとめ
色は私たちの日常生活の中で無意識のうちに多くの影響を受けている要素の一つであり、その力は驚くほど強力です。
この記事を書くことで、色がビジネスやマーケティング、特に売上向上のための戦略としてどのように活用できるかについての深い理解を得ることができました。
デザイナーやビジネスオーナーは、色の選択一つで大きな変化をもたらすことができるという事実を強く意識して、その力を最大限に活用することが求められるでしょう。
私たちが普段目にする様々なデザインや広告には、深い心理学的な背景が存在していることを改めて実感しました。