「情報疲れ」なんて言葉もできるくらい、情報が多すぎる現代。
ニュースにSNSに動画…何か知りたいことを少し調べただけでも、無数の情報が目に入ってきます。
その中には、正しい情報だけでなく、フェイクニュースや誤解を招く表現、さらにはフェイク動画まで含まれています。
見た目や話し方はもっともらしいのに、内容は正確とは言えないコンテンツまであります。
そうした情報が増えたことで、「何が正しくて、何が正しくないのか分からない」と感じる人も多いのではないでしょうか。
では、フェイクに騙されない人になるにはどうすればいいのか。
そして、自分が情報を発信する側になったとき、どうすれば信頼される情報を出せるのか。
この記事では、特別な知識がなくても実践できる考え方と方法を中心に、分かりやすく解説していきます。
情報リテラシーとは
情報リテラシーとは一言で言えば、「情報をどう扱い、どう判断するかの力」です。
大事なのは、すべての情報を正確に見抜けるようになることではありません。
現実には、正解がはっきりしない情報の方が圧倒的に多いからです。
だからこそ情報リテラシーは、
分からない状況で、どう考え、どう距離を取るか
を身につけることだと考える方が、実態に近いでしょう。
情報が生活や仕事の判断に直結する今の時代、
この考え方を知っているかどうかで、受ける影響は大きく変わります。
ここからは情報リテラシーを磨くために具体的に何をすればいいのかをご紹介していきます。
情報の信頼性のランク
まずは情報のソースの信頼性を判断できるようになりましょう。
すべての情報は、同じ信頼度ではありません。
情報には、加工の度合いや立場の違いによって、ある程度の「段階」があります。
ここでは分かりやすく、三つに分けて考えます。
第一次情報
第一次情報とは、直接の体験や観測、研究、統計など、
加工されていない元の情報のことです。
たとえば、
- 公的機関が公表している統計データ
- 学術論文や研究報告
- 当事者が公式に発表している資料
などが該当します。
最も事実に近い一方で、
専門用語が多く、読み解くのが難しいことも少なくありません。
第二次情報
第二次情報は、第一次情報をもとに、
第三者がまとめたり、分かりやすく解説した情報です。
たとえば、
- ニュース記事
- 専門家による解説記事
- 調査結果を紹介するレポート
がこれに当たります。
実用性は高いですが、
どこを強調し、どこを省いているかによって、印象が変わる点には注意が必要です。
第三次情報
第三次情報は、情報源がはっきりしない、あるいは複数の情報が混ざったものです。
- SNSの投稿
- まとめサイト
- 個人の意見動画
などが代表例です。
信頼性は低くなりがちですが、
話題の全体像を知るきっかけや、別の視点を得る参考になることもあります。
重要なのは、
どのランクの情報かを意識した上で読むことです。
情報収集・調査の時間を大幅短縮する方法
正確な情報を集めようとすると、
自力ではかなりの時間と労力がかかります。
ですが今は、うまく道具を使えば、
その時間を大幅に短縮することができます。
Google検索コマンドを使いこなす
Google検索は、ちょっとした工夫で精度が変わります。
filetype:pdf
→ 調査資料や公的文書が出やすくなりますsite:go.jp
→ 政府系の公式情報に絞れます
これらをキーワードと組み合わせることで、
信頼性の高い資料に近づきやすくなります。
AI検索エンジンの活用
AI検索エンジンの中では、Perplexity AIが特におすすめです。
理由は、
- 出典元が明示される
- 複数の情報を横断して要約してくれる
点にあります。
たとえば、
「◯◯について、公的機関や論文を中心に要点をまとめてください」
といった形で指示すると、精度が上がります。
AIブラウザの活用
最近は、ブラウザと一体型のAIも登場しています。
中でもおすすめなのは、ページを開いたまま要約・質問ができるタイプです。
長い論文や資料を開いた状態で、
「このページの要点を教えて」
と聞くだけで、全体像を把握できます。
従来のチャットAIとは違い、
今見ている資料そのものを相手にできる点が大きな利点です。
通知機能を使う
関心のある分野については、
新しい論文や情報が出たら通知を受け取ることもできます。
たとえば、
- Googleアラート
- 学術データベースの通知機能(Google Scholarなど)
を使えば、特定のキーワードに関する新情報を自動で追えます。
表形式に自動整理
少し高度なスキルが必要ですが、集めた情報は表にしておくと便利です。
- 日付
- タイトル
- 出典
- カテゴリ
などをCSVやスプレッドシートに整理することで、
情報の比較や見直しがしやすくなります。
具体的な方法としては、
まずはGoogleアラートまたはGoogle Scholarの通知先をGmailにしておきます。
それからGoogle Apps Scriptコード(GAS)を使用して、
メールの内容を自動で読み取ってスプレッドシートに転記するよう設定します。
GASについては長くなるのですみませんがここでは割愛します。
また後日ブログで解説するかもしれません。
フェイクに騙されないために
最近ではAI生成動画のクオリティーがどんどん上がっていて、フェイク動画かどうかの見分けが難しくなってきています。
こうしたフェイク情報に騙されると、
誤った判断をしたり、不要な不安や損失につながることがあります。
ここからは、フェイクに引っかかりにくくするための考え方を紹介します。
誰が得をするのか考える
これは、フェイク対策だけでなく、
詐欺や怪しい話を避けるためにも非常に重要な視点です。
この情報が広まることで、
誰が利益を得るのかを考える癖をつけるだけで、
構造が見えやすくなります。
例えばフェイク動画は、YouTube等で動画の再生数が伸びたりチャンネル登録者数が増えたら収益が発生しますよね。
「ああ、お金になるからこんなフェイク動画投稿してるんだな」
と考えられるようになるだけでも十分情報リテラシーの向上に繋がります。
エコーチェンバー・フィルターバブル
ネットやアプリ上では、ユーザーの好みに合わせた情報が表示されやすいようになっています。
その結果、エコーチェンバー、フィルターバブル、と言われる、偏った情報ばかり目に入りやすくなってしまう現象が起きてしまいます。
エコーチェンバーとは、
自分と同じ考えの人たちばかりが集まる「部屋」で、自分の意見がエコー(反響)のように何度も繰り返されて、どんどん強くなってしまう現象です。
SNSやアプリが自分と同じ意見の人ばかりの投稿をおすすめに出してくることで、反対意見が目に入らなくなり、視野が狭くなる恐れがあります。
フィルターバブルとは、
SNSやアプリがユーザーの行動履歴(検索、動画再生履歴など)を参考に、自分好みのコンテンツばかりを表示することで、まるで泡の中に閉じ込められたように、自分とは違う考え方に触れる機会がなくなってしまう現象です。
どちらも、自分では気づかないうちに、
偏った見方を強めてしまう危険があります。
アテンション・エコノミー
アテンション・エコノミーとは、人々の注意・関心(アテンション)をどれだけ集めるかを優先する考え方です。
先ほどのフェイク動画と同じですが、今は情報の中身の品質よりも、ネット上でどれだけ注目を集めるかが収益に直結されてしまうような仕組みになってしまっています。
過剰で刺激の多い、いわゆる「釣り」と呼ばれるようなタイトルやサムネイルのコンテンツが、ネット上では山ほど出てきますよね。
思わず見たくなる衝動に駆られますが、このアテンション・エコノミーによって誤った情報が拡散されやすくなってしまっています。
ここでも
「誰が得をするのか」
を思い出すことが大切です。
結論ありきの統計調査(やらせ)
統計や公的資料は信頼性が高いと言われますが、
それでも疑う視点は必要です。
数字の取り方や見せ方によって、
特定の結論に誘導することも可能だからです。
例えば下記のように、過去に一部の調査結果しか載せず政策が成功しているように見せかけた公的機関の統計調査があったことが発覚しています。
毎月勤労統計調査を巡る不適切な取扱いに係る事実関係とその評価等に関する追加報告書
一部地域の企業データを不適切に除外し、賃金上昇率を過大に見せかける形で集計。
公的統計の信頼を損ない、総辞職に発展。
総務省統計局が「公的統計の信頼損なう事案」と認定した。
一次情報だけでなく、
必要に応じて二次・三次情報も照らし合わせることが有効です。
反対意見は存在するか
メリットしかない話は、ほぼありません。
反対意見を調べずに判断すると、後から見落としに気づくリスクがあります。
Perplexity AIなどの出典元がわかるAIに、以下のようなプロンプトを入力して反対意見を探してみましょう。
基本プロンプト例
「[トピック]のメリットを3つ挙げた上で、反対意見を3つ挙げてください。各反対意見に根拠とリスクを付け加え、データや事例を基に説明せよ。」
議論形式プロンプト例
「あなたは賛成派Aと反対派Bの2人です。[トピック]について、3ターンずつ交互に意見を述べ合い、最後に妥協案を提案してください。反対派はコストやリスクに焦点を当てよ。」
批判視点プロンプト例
「[トピック]の主流意見を避け、あまり知られていない反対意見や批判点を5つ挙げてください。一般論ではなく、具体例と潜在リスクを伴って説明せよ。」
クリティカルシンキング
クリティカルシンキングとは、物事を鵜呑みにせず、「本当に正しいのか?」と考えることで、批判的思考とも呼ばれています。
先ほど説明した「誰が得をするのか」や、「反対意見は存在するか」といった考え方もこのクリティカルシンキングに含まれます。
- その前提は正しいか
- 他の見方はないか
- 根拠は十分か
などと問いを立てながら考えてみましょう。
情報発信する側としてやるべきこと
ここまでで、信頼性の高い情報を集める力は十分身についたはずです。
次は、情報を発信する側としての注意点を見ていきましょう。
情報の出所を正直に言う
情報を発信するときは、
- 出典
- 引用
- 著者
- 情報の不確実性
を明記します。
これは著作権の問題だけでなく、
自分の情報の信頼性を高める指標にもなります。
この情報は何を元に作られたものなのか、
これを言っている私はどんな人なのか、
そして、この情報がどう言った場合正しくない可能性があるのか
これらを言うことで信頼性の高い第2次情報の発信者となることができます。
AIのハルシネーション対策
AIは便利ですが、
ハルシネーション(事実でない回答)をすることがよくあります。
- AIに情報を集めさせる
- 出典を確認する
- 最後は人が責任を持って判断する
この流れを守ることが重要です。
また、別のAIにファクトチェックをさせることも大切です。
このようなプロンプトを入力して、事実確認をしてみましょう。
ファクトチェック プロンプト例:
「以下の主張『[具体的主張を入力]』について、事実確認をしてください。
信頼できる一次ソース(公的文書や公式発表)を3つ挙げ、各ソースのURLと要点を記述。
矛盾点があれば指摘し、正しい情報をまとめよ。
出典がない場合は『確認不可』と明記。」
まとめ
- 情報には信頼性のレベルがある
- 効率的な道具を使えば、調査時間は大きく短縮できる
- 「誰が得をするのか」を考える癖が、フェイク対策になる
- 情報発信では、出所と不確実性を正直に示す
情報リテラシーとは、
完璧に見抜く力ではなく、
判断を誤りにくくするための考え方です。
出典:
情報コンテンツの信頼性とその評価技術|情報通信研究機構
ICTリテラシーを学ぼう|総務省
ICTリテラシー実態調査|総務省
