UI / UXという言葉を調べると、だいたい同じ説明に行き着きます。
UIは見た目、UXは体験。
間違ってはいません。
ただ、この理解だけでサイトもしくはアプリ制作に移ると思わぬ形でつまずくケースがあります。
この記事では、UI / UXについて
「実務ではどう考えればいいのか」
「よくある誤解」
「初心者が最初につまずくポイント」
に焦点を当てて解説します。
UIは「デザイン」、UXは「体験」だけではない
まず大前提として整理します。
UI(User Interface)は、ユーザーが触る接点です。
ボタン、文字、色、配置、入力欄、動き。
UX(User Experience)は、ユーザーが得た体験です。
迷ったか、疲れたか、達成できたか、もう一度使いたいか。
ここまではよくある説明です。
ただし実務で重要なのは、
UXは「体験」だけではなく「結果の集合」だということです。
・目的に辿り着けたか
・途中で離脱しなかったか
・問い合わせや購入まで進んだか
・クレームや混乱が起きなかったか
感情論だけでなく、ユーザーの行動と結果を集計してようやくUXと呼ぶことができます。
UIを直してもUXが良くならない瞬間
これは実務で本当によくある話です。
・ボタンを大きくした
・色を目立たせた
・デザインを今風にした
それでも、成果が変わらない。
このとき多くの人は、
「UIがまだ悪いのでは?」
と考えがちです。
しかし実際には、UXが悪い原因はUI以外にあることがほとんどです。
例えば、
・情報が多すぎて、そもそも理解できない
・導線がビジネス都合で歪んでいる
・ユーザーが求めている答えが用意されていない
・手順が長すぎる
UIは綺麗でも、設計そのものがズレていればUXは改善しません。
UXを殺す一番の犯人は「ビジネス都合」
これはあまり語られませんが、重要な現実です。
・全部のサービスを見せたい
・キャンペーンを目立たせたい
・上の指示で項目が増えた
・法務チェックで文章が長くなった
こうしてUXは少しずつ壊れていきます。
UXが悪化する原因は、
「デザイナーの未熟さ」ではなく
組織全体の判断の積み重ねであることが多いです。
「良いUX=売上が上がる」は半分ウソ
これも初心者がよく誤解します。
UXを良くすれば、必ず成果が出る。
これは正しくありません。
・UXは良いが、そもそも需要がない
・UXは良いが、価格や条件が弱い
・UXは良いが、集客が足りない
こういうケースは普通にあります。
ただし逆はほぼ成立しません。
UXが悪いのに、長期的に成果が出続けることはない。
UXは魔法ではありませんが、
成果の土台であることは間違いありません。
実務でUI / UXを考えるときの最低限の視点
実務では次の視点を持つだけで大きく変わります。
・ユーザーは「何をしに来たか」
・最短でそこに辿り着けているか
・途中で考えさせていないか
・選択肢を増やしすぎていないか
・説明なしでも理解できるか
UI / UXはセンスの話ではありません。
仮説 → 確認 → 修正の繰り返しです。
ワイヤーフレームを作る
実際に操作してみる
他人に触ってもらう
数字(離脱・完了率)を見る
この地味な工程を飛ばすと、UXは改善しません。
よくあるUI / UXの誤解を1つ壊す
「分かりやすいUI = 親切」ではありません。
よくある失敗がこれです。
・情報を全部見せる
・説明を全部書く
・選択肢を全部用意する
情報を全部出してあげていて親切ではあるものの…
実際は、ユーザーの思考量を増やしているだけのケースがほとんどです。
こんな経験ありませんか?
アプリを開いた瞬間に
長文のチュートリアルが表示されて、
「あとで読む」を押したくなるあの感じ。
あれと同じです。
本当に良いUXは、
「ちゃんと説明している」ことではありません。
説明しなくても、自然に使えてしまう状態を作ることです。
ユーザーが考えなくて済む。
迷わなくて済む。
読む前に、もう行動できている。
それが、UXが良い状態です。
明日から最低限これだけ意識すればいい3つ
最後に、実務で使える形に落とします。
- ユーザーの目的を1つに絞って言語化する
- そこに行くまでの手順を減らす
- 迷う可能性がある場所を疑う
UI / UXは完璧を目指すものではありません。
「今よりマシにする」ことの積み重ねです。
この考え方を持てるようになったとき、
UI / UXは用語ではなく、武器になります。

